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塗師大崎庄右エ門 蒔絵師竹園自耕 㐂雀・桐蒔絵 黒塗小丸形吸物椀 10客組





本作は、石川県輪島の塗師・大崎庄右エ門と、同地の蒔絵師・竹園自耕による合作の黒塗吸物椀、十客組です。椀形は口縁をやや立ち上げた小丸形で、内外ともに黒塗を基調とし、蓋表には金蒔絵にて桐文と雀が配されています。
塗師を務めた大崎庄右エ門は、江戸末期に創業した老舗「大崎漆器店」の名跡であり、代々輪島塗の伝統を継承してきた漆器職人です。堅牢を旨とした丁寧な木地作りと、品質にこだわった国産漆の使用を重んじ、現在も四代目がその名を継承しています。
蒔絵を手掛けた竹園自耕(1892〜1967)は、輪島塗の近代化と芸術性の発展に貢献した蒔絵師です。帝展初入選を果たした輪島出身の作家として知られ、その構成力と技術の精緻さには定評があります。没後も図案や作品が多数残され、輪島漆芸の指導的存在として評価されています。
本作に描かれた意匠は、桐文と鳳凰と桜の取り合わせ。㐂雀(喜雀)という名称は本来雀を指し、由来としては、「欣喜雀躍(きんきじゃくやく)」という四字熟語があり、これは「小躍りして大喜びすること」を表現します。ここでの「雀躍」は、雀が飛び跳ねて喜ぶ姿から来ており、最高潮の喜びを意味します。「㐂雀」という表現は、こうした喜びや吉祥の象徴として、工芸品の銘や図案、落款などに使われてきました。
この作品では桐との対比で鳳凰が描かれており、その名称として㐂雀が使われています。
- 商品名:塗師大崎庄右エ門 蒔絵師竹園自耕 㐂雀・桐蒔絵 黒塗小丸形吸物椀 10客組
- サイズ:直径12㎝ 高さ9.5㎝ 高さ(身)6.5㎝
- 価格:300,000円
2025-06-15 | Posted in items | Comments Closed