外黒内桐蒔絵吸物椀10客組

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外側を黒一色で仕上げ、内側にのみ金蒔絵を施した、引き締まった趣の吸物椀十客組です。内面を飾るのは、桐の葉を主題とした意匠。簡略化された桐文のほか、実をつけた枝や葉を大胆に配したものなど、個々に趣向が凝らされています。

桐は古来より吉祥文様として尊ばれ、特に五三桐（三つ葉に三房）は豊臣秀吉の定紋として知られ、その後も格式ある家紋や文様として用いられてきました。本作においても、意匠化された桐の姿に気品が漂い、黒漆との対比によっていっそう金彩が映える構成となっています。

蓋裏および椀の内底に蒔絵を施すことで、蓋を取った際に初めて意匠が現れるという構成もまた、茶懐石における器の「見せ方」の妙を感じさせます。