黒塗松竹梅蒔絵吸物椀 十客組。

黒漆塗の素地に、松竹梅の吉祥文様を金蒔絵で描いた一揃い。椀蓋・椀身ともに、隙間なく配置された松・竹・梅の意匠が全面に巡らされており、構図の華やかさと緊密さが目を引く。椀の内側には文様を控え、艶のある黒漆仕上げに控えめな梅の文様を点在させるのみで落ち着きを持たせている。

松は常緑の樹として不老長寿を、竹は中空の清廉さと節ある成長を、梅は寒中に咲くことから忍耐と繁栄を象徴し、三つを併せた松竹梅は、古来より祝いの意匠として重用されてきた。ことに茶懐石の道具においては、松竹梅の取り合わせは季節を問わず使える格式ある文様とされ、正月や節句に限らず、婚礼や節目の会席などにもふさわしい図柄である。

松葉や竹の葉は直線的な描線で軽やかに構成され、梅の花は円形の連なりによって柔らかな対比をなす。いずれの意匠も具象的な描写を抑え、蒔絵文様としての記号性を際立たせており、文様の意図を明確に伝える構成となっている。

• 商品名：黒塗松竹梅蒔絵吸物椀　10客組
• サイズ：直径12.5㎝　高さ8㎝　高さ（身）6㎝
• 価格：800,000円